先人たちの知恵を受継ぐ天然の接着剤『米のり・にかわ・ぎんなん草』
無添加住宅では、集成材の貼り合わせなどに使う糊すべてを、手づくりの米のりにしています。
昔の大工さんは、朝一番、飯を木板の上で竹ベラでこねるのが仕事だったそうです。
実際に米のりの接着力は強く、当社の実験でも木工用ボンドとほぼ同じ強度でした。
また、にかわという接着剤も使います。
にかわは、動物の骨や皮を煮て精製してできるゼラチンです。
にかわ=ゼラチン=コラーゲンなのをご存知でしょうか。

現在では、食品や化粧品などに広く利用されていますが、昔は接着剤としても使われていました。
にかわは高温では液状ですが常温では固形になる特性があり、それを活用するのです。
米のりは接着するまでに1日以上かかりますが、にかわは素早く接着できる、
素晴らしい瞬間接着剤だったのです。無添加住宅では、床材の貼り付け等に使用しています。
そのほか、しっくいには、ぎんなん草という海藻を煮詰めドロドロにした糊を混ぜます。
これは、糊の保水効果により、しっくいに適度の粘度を与え、コテ塗りの作業性を良くするためです。
このように、昔の人は自然の素材でつくる接着剤を使い分けていたことを、
現代の私たちが伝えて行くべきであると思います。
こうした接着剤で十分な接着効果と健康的な効果が期待できるのですから。

ちょっと米のり・にかわ・ぎんなん草の話
米のりは日本では奈良時代のころから建具や家具の接着剤として
「続飯(そくい)」と呼ばれて使われだしたようです。
当時はきっと高価なものだったんでしょうね。
にかわは仏教が伝来して以来、日本では獣肉を食べることがタブー視されていたため、
使用しなかった時期もありましたが、日本書紀に記されたところによると推古18年に、
墨を作るために使われたようです。その後は木や竹を貼り合わせる糊として使用されたり、
画材としても使われてきました。
原料となる動物(牛・鹿・兎)によって、接着力が違うんです。
ぎんなん草という糊は海藻の一種です。食用になりますし、
確かな記述はありませんが、アイヌの人たちが昔から食用としていたようです。
北海道の留萌では仏の耳とも呼ばれ味噌汁の具として、一般にも出回っているようです。

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